2005年のトニー賞6部門を受賞したミュージカル。イタリアを旅行中の母親と娘の心の成長を美しく流麗な旋律と思慮深いイメージ豊かな詞で描く。主演のケリー・オハラ(『王様と私』『南太平洋』)は本作の主演でその実力を非常に高く評価され、一躍有名となった。
1953年、夏のイタリアを舞台にした物語。アメリカ人のマーガレット・ジョンソンは、娘のクララと一緒にトスカーナ地方の田園地帯を旅行中。フィレンツェで観光スポットを見学しているとき、突然の風が吹き、クララ──美しいけれども年齢の割には驚くほど子供っぽい娘──の帽子を空に巻き上げ、その帽子は地元のハンサムな青年ファブリツィオの足元に落ちる。偶然ながらも運命的な若い2人の出会い。この瞬間、クララとファブリツィオはお互いに恋に落ちる。しかしクララに対して極端なほど過保護の態度をとるマーガレットは、なぜか娘とファブリツィオを遠ざけようとする。
物語が進展するにつれ、若いカップルの間を阻む文化的なギャップに加えて、クララの “ある秘密” が徐々に明らかになる。娘に関する真実を隠し通せなくなったとき、マーガレットはクララの将来だけではなく、自分自身の生き方についても見つめ直すことになる。
リチャード・ロジャースの遺伝子を継ぐアダム・ゲッテルが丹精をこめて創りあげた珠玉の一篇。水彩画のように繊細で美しい旋律が強く胸に迫る。